東京大学大学院の研究でメープルの健康機能性が初めて明らかに メープルシロップに肝臓保護効果 — メタボリック症候群や生活習慣病の予防に期待(2011年9月)
ケベック・メープル製品生産者協会(カナダ、ケベック州)は、東京大学大学院農学生命科学研究科の阿部啓子名誉教授に依頼しているニュートリゲノミクス(遺伝子発現解析)*によるメープルシロップの健康機能性を評価する研究で、メープルシロップに肝臓保護効果があることを確認いたしました。今回の試験結果は、メープルシロップの摂取による健康機能を初めて示すもので、今後の詳細なメカニズム解明への大きな手がかりとなるものです。この結果は、11月以降「Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry」に掲載されます。 今回の試験は、メープルシロップを摂取した際、身体にどのような健康効果を及ぼすかを動物実験で調べるパイロットスタディー(試験的研究)として行われました。濃度20%のメープルシロップを含む餌と、同じ濃度の砂糖水溶液を含む餌を11日間ラットに投与し、生理・生化学データ解析(血中成分解析)と遺伝子発現解析の両方において評価しました。まず、両群の血中成分を解析したところ、メープルシロップ食を与えた群では、砂糖水溶液食を与えた群に比べて、肝機能障害の程度を評価するバイオマーカである血清酵素AST、ALT、LDHの活性が有意に減少しました。次に、肝臓の遺伝子発現解析を行ったところ、同じくメープルシロップ食群で、アンモニアを生成するアミノ酸代謝系酵素関連の遺伝子に不活性化が見られました。 AST、ALT、LDH値低下という血中成分解析の結果より、メープルシロップには有意に肝臓保護効果**があることが明らかになりました。これらASTやLDH値低下の理由のひとつとして、メープルシロップがアミノ酸代謝に関わる遺伝子を減少させることにより、臓器に障害を与えるアンモニア生成を抑制していることが、遺伝子発現解析により推定されます。 ケベック・メープル製品生産者協会は、阿部教授による研究の結果を非常に重要であるととらえています。当協会会長セルジュ・ボリューは、次のように述べています。「当協会では、カナダ産メープルを研究する国際的なネットワークを構築し、様々な分野の第一人者とともに研究を進めています。最近では、米国ロードアイランド大学との研究により、メープルシロップに、特有のポリフェノール5種類を含む50種類以上のポリフェノールや、2型糖尿病予防に関わる成分が含まれることが確認されました。阿部教授の研究は、これらの成分を含むメープルシロップを摂取した際、どのような健康機能があるか、特に生活習慣病に対してどのような効果をもたらすかを解明することを目的としています。今後も引き続き、阿部教授の研究チームによるニュートリゲノミクス解析を続けてまいります。」
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阿部先生のコメント
FPAQと進めるこのプロジェクトの最終ゴールは、メープルシロップがどのような生活習慣病のリスクをどの程度に軽減するかを明らかにすることです。その手がかりのひとつが、今回の遺伝子発現解析で見えてきました。現代人にとって負担がかかりやすく、生活習慣病と密接に関わる肝臓を保護する効果です。同時に、他の可能性も候補として挙がってきており、今後の詳細解明が期待できる結果となりました。今回の実験によって、メープルが持つ健康機能の可能性が具体的に広がったと言えるでしょう。ケベック・メープル製品生産者協会の研究について
東京大学大学院における研究は、ケベック・メープル製品生産者協会、カナダ農務・農産食品省およびケベック農業開発評議会からの財政援助によるものです。 ケベック農業開発評議会(CDAQ)からの資金は、カナダ農務・農産食品省のカナダ農務・農産食品推進プログラム(ACAAF)から援助を受けています。 カナダ農務・農産食品省は、“Growing Canadian Agri-Innovations”プログラムを通じて、カナダ産メープルシロップの研究への財政支援を実現しています。プレスリリース(PDF)はこちらをご覧ください
プレスリリース別添資料
メープルシロップとは
メープルシロップの栄養価
FPAQによるメープルシロップの研究
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