最新の研究成果

カナダ産メープルシロップの新たな研究結果を発表 「植物ホルモン アブシシン酸と20種類以上の抗酸化物質を含有」(2010年4月)

ケベック・メープル製品生産者協会(カナダ・ケベック州)は、カナダのメープル産業の名のもとに、カナダの最も特徴あるシンボルのひとつ、メープルシロップの研究を進めてきました。メープルシロップは、自生のサトウカエデ(メープル)の樹液を煮詰めただけの100%自然の食品です。長い歴史と伝承によって守られてきた秘密の数々が今、近代科学により明らかにされつつあります。

その1つがアブシシン酸です。アブシシン酸は、その健康効果が発見されたばかりの植物ホルモンで、脂肪細胞のインスリン感度を高めるといわれています。また20種類以上の抗酸化物質が含まれていることも最近報告されました。そして、その抗酸化物質のORAC値(活性酸素吸収能力)は、一般的なフルーツやブロッコリーのような野菜に匹敵するものです。さらにメープルシロップは、試験管内実験において、がん細胞の増殖を鈍化させる可能性があることがわかりました。

当協会は、日本では「機能性食品ゲノミクス」研究の第一人者で、東京大学大学院農学生命科学研究科の特任教授、農学博士の阿部啓子先生にメープルシロップの機能性の研究を依頼しています。阿部先生は「メープルシロップやそのもととなる樹液の研究が活発に行われ、20種類以上の抗酸化物質の発見など非常におもしろいと思います。ゲノミクス(遺伝子科学)からそれらの成分の生理機能性を解明したく、研究を開始しました。結果が楽しみです。」と語っています。

当協会は、今回の発見はメープルシロップに含まれる物質が、私たちの健康において生理的に有益である可能性を示しており、メープルに関する研究において画期的な発見であると考えています。これまでカナダのメープルに関する国際的な研究ネットワークを構築し、優秀な研究チームとともに研究を進めてきました。今後も引続き、カナダ農務・農産食品省などと連携して研究のサポートを行い、メープル製品が食と健康にもたらす効果の解明に取り組んでいきます。
 

植物ホルモン アブシシン酸の含有

カナダ・ケベック州、ラヴァル大学のイブ・デジャルダン(Yves Desjardins)博士の研究により、メープルシロップとその原料となる樹液、メープルウォーターに、かなりの量のテルペン類、特に近年、その健康効果が科学界から認められた植物ホルモン、アブシシン酸が含まれていることが分かりました。アブシシン酸は、膵臓細胞を通じてインスリンの分泌を促進し、脂肪細胞のインスリン感度を高めるとして知られる植物成長ホルモンです。メタボリックシンドロームや糖尿病に対する効果に期待がもたれています。
 

20種類以上の抗酸化物質の含有

米国、ロードアイランド大学の研究者、ナヴィンドラ・シーラム(Navindra Seeram)博士により、カナダ産メープルシロップに20種類以上の抗酸化物質が含まれていることが明らかになりました。この研究結果をシーラム博士は、2010年3月、アメリカ化学会(American Chemical Society/ACS)で発表しました。これらの抗酸化物質の抗がん作用、抗菌作用、また糖尿病を予防する作用についての研究が進められています。なお、同博士はACSの2009年の“Young Scientist of the Year”に選ばれています。
 

試験管内実験でのがん細胞の増殖の鈍化

カナダ・ケベック州、ケベック大学のジャン・ルゴー(Jean Legault)博士のチームが“Journal of Medicinal Food”に発表したもので、テーマは『カエデ樹液とメープルシロップの抗酸化機能、酸化窒素の過剰産生抑制と、試験管内における抗増殖性の効果(Antioxidant Activity, Inhibition of Nitric Oxide Overproduction, and In Vitro Antiproliferative Effect of Maple Sap and Syrup from Acer Saccharum)』です。試験管内に限った実験において、モデル細胞はメープルシロップが前立腺と肺においてがん細胞の増殖を大きく遅らせる可能性があること、また乳がんや結腸、脳においてもがん細胞の増殖を遅らせる可能性があることを示しています。この効果は、ブルーベリー、ブロッコリー、トマトやニンジンよりも高いものといえるようです。動物や人間に対して有用であるかは現段階では明らかではありませんが、これからの研究に希望をもっています。
 
ケベック農業開発機構

研究支援

これらの研究プロジェクトは、カナダ農務・農産食品省の出資を受けている、ケベック農業開発機構(Conseil pour le développement de l'agriculture du Québec/CDAQ)の財政支援により実現したものです。また、これらの研究は、農業分野と工業分野、政府と大学の連携を促進するために設置された、カナダ農務・農産食品省の科学研究・イノベーションのサポートプログラムの財政支援も受けており、新たな戦略的革新の機会がさらに迅速に発見されています。

メープルシロップ

プレスリリース(PDF)はこちらをご覧下さいpdf

 

PDFデータをご覧になるにはAdobe Readerが必要です。

 

← 前のページ 次のページ →

HOME > 最新の研究成果 > カナダ産メープルシロップの新たな研究結果を発表 「植物ホルモン アブシシン酸と20種類以上の抗酸化物質を含有」(2010年4月)
メープルシロップ レシピ検索